子宮内膜症について院長コラム|コラム 詳細|体外受精、不妊治療はクリニックドゥランジュ。東京都港区表参道駅近くの不妊専門クリニックです。

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2019.07.30

子宮内膜症について


近年の晩婚化・少子化により女性の一生涯の月経回数が増えてきています。
初経開始年齢が早くなっているのもその一因ですが、それまで生涯月経回数は160回程でしたが、
近年では450回と約3倍に増えてきています。
これに伴い増加傾向にあるのが子宮内膜症です。

子宮内膜組織が卵巣や子宮筋層内、骨盤腔内に存在し、月経のたびに月経血が排泄されずに
残って所見を作ります。
また超音波上所見を認めなくても腹膜上に内膜組織が存在すると、そこで月経のたびに
軽度の腹膜炎が起き、骨盤内臓器の癒着が形成されます。
これによって強い月経痛などの月経困難症を引き起こし、主な不妊症の原因の1つとなります。

卵管采が腹膜に癒着したため卵子を取り込めないpick-up障害や強固な癒着で卵管閉塞も起きてきます。
さらに妊娠後も早産や前置胎盤の発生率が3倍上昇するという報告もあります。
子宮腺筋症の人は子癇前症の発生率も上昇するそうです。


なお、子宮内膜症は、妊娠することにより改善すると思われていましたが、最近の報告では、
重症型は改善するが、軽度~中等度のものは改善しない。人によっては妊娠中でも悪化する事もある
という報告まであります。
ここまでメジャーな病気にも関わらずその根本原因は未だに分かっていません。いくつか説はあるものの、
どれも決め手不足でこれが原因だろうと言えるものが無いのです。
ただ1つ言えるのは、若い時から生理痛の強い人はその後子宮内膜症を発症する率が高いとの事です。
ですので将来的な事も考えて、生理痛を含む月経困難症のある人は早めに手を打つことが大切です。


ではどうすればいいのか。
これは至極簡単で、生理の回数を減らせばいいのです。
内膜症は月経時に症状を引き起こし悪化させるのですから、
生理が来なければいい訳です。
ただし、単純に生理を止める事は良い事ではありません。
一昔前は、GnRHという注射などを使って生理を止めていました。これは下垂体という、
卵巣に卵を作りなさいと命令する場所に作用して卵を作ることをやめさせて生理を止める方法です。
確かに生理は止まり、子宮内膜症の症状を押さえたり和らげたりできました。
その代わりに卵巣からのホルモン、特に女性ホルモンが作られなくなるため、ホルモン欠乏症状、
いわゆる更年期様の症状が出現し、そちらの症状で色々とトラブルが起こりました。
ただ単純に生理を止めれば良いという訳では無いのです。


そこで最近注目されているのがLEP(Low dose Estrogen Progestin)製剤という薬を使った治療方法です。簡単に言うと超低用量ピルです。
ピルというのはホルモン剤で、ご存知の通り避妊に使われます。
ピルを飲むと避妊できるのは、外からホルモンを補充する事により自らのホルモン産生を押さえられるからです。
人間の身体に必要なホルモンの量は決まっています。本来はその量を満たすために卵巣でホルモンを作っています。
この時一緒に卵が作られ排卵して妊娠にいたります。
ところが薬で外からそのホルモンを補うと、身体の方はホルモンが十分足りているのでそれ以上ホルモンを
作る必要性を感じなくなり、産生をやめてしまいます。
ホルモンが作られないという事はすなわち卵も作られなくなるという事で、無排卵となり妊娠しなくなる。
これがピルによる避妊の作用機序です。
この場合、ホルモンは十分にありますのでホルモン欠乏症状、いわゆる更年期様の症状は出現しません。


ただこれだと毎月生理が来てしまうので、子宮内膜症の治療には適しません。
そこで改良を重ねてできたのがLEP製剤となります。
薬の種類にもよりますが、最大120日間連続投与可能。すなわち生理を4ヶ月に1度に減らすことができます。
しかも最低限のホルモン補充をしていますのでホルモン欠乏症状は起きません。
ただし、最低限のホルモンしか入っていないので、人によってはホルモン量が足りず、
卵胞が発育してしまうことも有りピルとしては使えませんので悪しからず。
あくまでも子宮内膜症の治療、および症状を軽減させるための薬です。


ですので、まだ暫くは妊娠を考えていない方で子宮内膜症がある方や月経困難症の症状が強い方は
こういった投薬治療を行い、将来の妊娠のための準備をすることをお勧めします。


よくホルモン剤と聞くと、副作用を心配する人がいます。
確かに容量の多いホルモン剤では、乳癌や子宮体癌、また血栓症などの発生率が上昇するという報告があります。

しかしながらLEP製剤は、自らの卵巣で産生されるホルモン量よりもかなり少ないので、
逆にその発生率を下げる可能性まであるかと思います。
また、これはピルを使用している人で報告されていますが、排卵回数が少なくなるため卵巣癌の発生率も
下がることが予想されます。

もう1つある心配が、毎月生理が来ない事に対する不安です。
これが最大の思い込みで、生理は毎月来なくてもいいのです。
一昔前、生理の回数は今の3分の1ぐらいでした。1度妊娠すると妊娠期間中の10ヶ月
、その後の授乳期間の半年から1年は生理が止まった状態でした。
合わせたら1年半から2年近く生理はありません。
それでも授乳をやめれば生理は再開しまた直ぐに次の妊娠をしてしばらく生理が止まりを繰り返していました。

勿論、薬で止めるのとは全く同じではありませんから単純には比較できませんが、
それぐらい来なくてもいいものであることは先人たちが証明しているのです。
ですから、薬で4ヶ月に1度しか生理が来なくなることを過度に気にする必要は無いと思います。
それよりも子宮内膜症や月経困難症をコントロールして日々の生活を充実させ、
将来不妊症にならないようにすることの方が大切かと思います。


残念ながらすべての方がLEP製剤を使用できるわけではありません。
また必ず120日間連続使用しなければいけない訳ではありません。
2ヶ月に1回ぐらいは生理を起こしておきたい、その方が安心という方はご自分の希望で60日使用して
止める事によりそのようにコントロールする事も可能です。
まずはお近くの婦人科を受診し、現状の卵巣の状態を確認してもらった上でご自分に合った使用方法を
相談する事が大切です。

今回は直ぐに不妊治療につながるテーマではありませんでしたが、何事も予防が大切という事で
書かせていただきました。

Clinique de l’Ange
院長 末吉 智博

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