妊娠とサプリメントの服用について院長コラム|コラム 詳細|体外受精、不妊治療はクリニックドゥランジュ。東京都港区表参道駅近くの不妊専門クリニックです。

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2019.02.28

妊娠とサプリメントの服用について


先日、妊娠とサプリメントに関する講演会がありました。
日本医科大学多摩永山病院院長の中井章人先生の講演で、お聞きした話を今回紹介したいと思います。

当院ではサプリメントの服用を原則禁止しております。
それには大きく2つの理由があります。


一つは、サプリメントとは『薬』ではなく『食品』です。
ですので、薬事法ではなく食品衛生法のもとに作られております。

例えばビタミンC 1,000mgという記載があった場合、ビタミンC 1,000mg入っていないと詐欺になりますが
ビタミンC 1,000mg以外は何が入っていても良い、というのがサプリメントで、
ビタミンC 1,000mgしか入れてはいけないという決まりがあるのが薬です。

過去にはサプリメントの中に小麦の成分が含まれているものが記載されずに販売されていたことがありました。
この事を知らないまま小麦アレルギーの方がそれを飲めばショックを起こすリスクがあり、大変危険です。
また別の例だと、DHA・EPAというサプリメントも一般的に知られています。これは血液をサラサラにするということで摂取する方が多いようです。この成分は青魚から抽出するのですが、実はこの魚から抽出する事によって、水銀混入のリスクがあります。

『薬』であれば、そういったことも全て調べて取りのぞく必要がありますが、サプリメントにはそういうものを取り除く必要が必ずしもありません。知らずにそういうものを摂取してしまうリスクがある、という理由から当院ではサプリメントの服用を好ましいとは思っておりません。


もう一つの理由としては、副作用のリスクがあります。例えば葉酸のサプリメントを摂ることによって小児喘息の発生率が高くなるという報告があります。必ずしも良い事ばかりではないという事実を踏まえて、当クリニックでは原則としてサプリメントの服用を禁止としていました。


厚生労働省は、二分脊椎(脳や脊椎に発生する先天性の癒合不全)などの「神経管閉鎖障害」の発症リスクを低減させるために、ビタミンB群の一つである葉酸の摂取を推奨しています。
しかしながら元々、アジア人はこの病気の発症頻度が低いため、必ずしも重要と私は思っておりません。
ただ実際、ここ40年くらいのデータを見ますと、日本においても神経管閉鎖障害の発症の頻度が徐々に増えているというデータがあります。
これは食生活の変化に伴い、食物からの葉酸の摂取が少なくなっていることが関係していると思われます。

実際のところ葉酸を摂ることだけで神経管閉鎖障害の発生が“無くなる”訳ではないですが、“減少する”というデータが欧米を中心に出ていることから、厚生労働省でも摂取することを推奨しているという事実があります。
この点に関しては今回の講演では説明はありませんでしたし、発症率と副作用等のリスクを考えると必ずしも葉酸摂取を勧める気にはなりません。

ただ問題なのは妊娠後期の事です。葉酸摂取が少なくなることによって、以前は妊娠中毒症と言われていたplacenta-medicated pregnancy complications(以下PMPCと呼ぶ) という妊娠後期の合併症の発生リスクが高くなる事でした。
これは、ホモシステインという物質が関係しています。

ホモシステインというのは、血管障害を引き起こす物質で、この血中濃度が上がることによって、脳や心臓血管障害を起こすのと同時に妊娠中の場合には胎盤等の血管障害を起こします。それによって妊娠高血圧、早産、常位胎盤早期剥離といった妊娠後期の重篤な合併症の発生率が高くなります。
このホモシステインを体の中で分解・代謝させるために必要なのが葉酸と言われており、そのために葉酸の摂取が必要だということです。
ただ世界中の報告をまとめてみると、葉酸だけを摂っても合併症の発生率がほとんど下がらないということでした。何が大切かというと、“マルチビタミンと葉酸を同時に摂取する”ということによって合併症の発生率が約半分にまで減らせる、という事でした。

これは以前から私が患者さんにお話していた通りで、葉酸だけ摂っても意味がない、どうせ摂るならマルチビタミンを摂ったほうが良いですよ、と言っていた通りの結果であります。


ビタミンというのはAから様々あり、Cだけ摂ればいい、葉酸だけ摂ればいいということではなく、まんべんなく摂ることによってその効果が発揮されるということを証明するものであります。特に同じビタミンB群のB6・B12と葉酸を一緒に摂ることが大切で、それはホモシステインという物質を代謝する葉酸の代謝経路にビタミンB群が必要だからです。葉酸だけではその代謝経路は回らなくて、他のビタミンB群も一緒に摂ることによって初めてホモシステインを代謝することができる、それによって合併症の発生リスクを下げることが出来る、という事でした。



また、先ほどの神経管閉鎖障害の発症率というのはアジア人には低いのですが、逆にPMPCの発症率は実はアジア人で極端に高い、という報告も聞きました。
更に、第一子出産時PMPCを合併した人は第二子妊娠時、PMPCの発症リスクが、既往の無い人に比べると5倍以上高くなるとの事でした。

よって、PMPC発症の予防をしっかりする必要があるために、葉酸を含むビタミンB群の摂取というのが大変必要となってきます。
ついでに言いますと、鉄もホモシステイン代謝に重要な役割を担っていますので、鉄もしっかりと摂ることが大切だという事でした。

また、葉酸というのは摂取したからといってすぐにその効果が発揮されるのではなく、体内に蓄積されるまでに時間がかかります。摂取量によっても違いますが、1ヶ月から3ヶ月かかるので、事前に摂って蓄える必要があるとの事でした。

神経管の形成時期というのが妊娠2週から6週までと言われていますので、それに間に合わせるにはかなり早い段階でしっかり摂取しておくことが必要です。
ですので、神経管閉鎖障害を予防したいのであれば、妊娠してから葉酸をとるのではすでに遅く、妊娠を希望される1か月前、できれば3か月くらい前から摂取をすることが望ましいということになります。
ただ葉酸を摂るのは妊娠後期の合併症の発症率を下げることのほうが重要ですので、葉酸を含むビタミンB群の摂取は出産直前まで続けることが大切という事です。



あともう一つ私が気にしていた、葉酸を摂ることによる副作用のお話もその時に聞きました。
小児喘息の発症率が上がるということを私は心配しておりました。
wheezeといって、生後6ヶ月から18ヶ月までにおける軽い喘鳴から喘息までを一つにまとめる表現で、そういった副作用の発症リスクが1.06倍高くなるという世界的な報告がその時にありました。
葉酸の摂取によってそういった副作用の出るリスクが若干上がりますが、それ以上に妊娠後期におけるPMPCの発症を下げるという利点の方がかなり高いだろうということが考えられます。


従いまして、今回の講演を聞いて当クリニックでもサプリメントの摂取を勧める方向に話を進めたいと思います。ただ問題なのはサプリメントであれば何でも良い訳ではなく、最初にお話したとおり、サプリメントの成分・質が大切になってきます。いろいろな会社がサプリメントを発売していますが、信用のおけるメーカーが販売をしているサプリメントを摂らないと不純物による副作用の出る可能性が考えられます。
安かろう悪かろうではお話になりません。
安全安心を一緒に買っていると考え、多少高くてもきちんと生産されたサプリメントを購入する事をお勧めします。


Clinique de l’Ange
院長 末吉 智博

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